住宅ローン返済期間50年が誕生!活用すべき?危険?徹底解説

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最近、金融機関で「最長50年ローン」という新しい住宅ローン商品が登場しました。
これまで一般的だった35年ローンよりも15年長いこのプラン。

「月々の返済が楽になるなら、50年のほうが得なのでは?」
そう考える人も多いかもしれません。

しかし実際には、総支払額が大きく増えるリスクがあるのです。
この記事では、数字を使いながら「50年ローンの本当の姿」を分かりやすく解説します。


目次

結論:月々の返済は減るが、総支払額は大きく増える

まず結論から言うと、
50年ローンの最大のメリットは「月々の返済額が減ること」。
一方で最大のデメリットは「支払総額が大きく増えること」です。


シミュレーション①:金利1%の場合(借入額5,000万円)

返済期間月々の返済額総支払額支払利息合計
35年(420か月)約14万1,143円約5,927万9,997円約927万9,997円
50年(600か月)約10万5,930円約6,355万7,554円約1,355万7,554円

50年ローンにすると、毎月約4万円の負担減になります。
しかしその代わりに、総支払額は約430万円も増加します。

つまり、

月々は楽になるけれど、最終的にはより多く払う。
というのが50年ローンの仕組みです。


シミュレーション②:金利が上がったらどうなる?

ここからが本題です。
現在は金利が低い時代ですが、将来的に金利が上昇したら?
その影響は50年ローンでは非常に大きくなります。


◆金利1.5%で50年ローンを組んだ場合

  • 月々の返済額:約12万8,000円
  • 総支払額:約7,678万円
  • 支払利息:約2,678万円

同じ金利1.5%で35年ローンを組んだ場合の総支払額は約6,430万円とされています。
つまり、50年ローンにすると約1,200万円も多く払うことになります。


◆金利2.0%で50年ローンを組んだ場合

  • 月々の返済額:約15万1,000円
  • 総支払額:約9,040万円
  • 支払利息:約4,040万円

金利1%のとき(総支払額 約6,356万円)と比べると、
金利が2%になるだけで、支払額が約2,700万円も増加。

これはまさに「金利リスク」の恐ろしさです。


まとめ:金利が上がれば上がるほど、総返済額は爆発的に増える

返済期間が長くなるほど、
たとえわずかな金利上昇でも、総返済額は大幅に増えます。

50年という長期間では、
人生のどこかで金利が上がる可能性が高いのは確実です。

ですので――

「返済額を下げたいから50年ローンを選ぶ」
という発想は非常に危険です。


本当に大切なのは「借りすぎないこと」

ローンの返済期間を延ばして月々の支払いを減らすよりも、
そもそも借りる金額を減らすことが最も効果的です。

たとえば、

  • 住宅価格を少し抑える
  • 頭金を多めに入れる
  • 無理なく返せる範囲で計画する

これらのほうがはるかに健全です。

ローンはあくまで「未来の収入を前借り」する行為。
できるだけ借金に依存しない資金計画を立てることが重要です。


今後の金利上昇リスクにも注意

今は日銀の金融緩和によって金利が低く抑えられていますが、
今後はインフレや政策転換によって金利上昇局面に入る可能性があります。

50年ローンという超長期ローンでは、
「今は低金利だから大丈夫」という油断が数十年後に大きな負担に変わるかもしれません。


結論:50年ローンは“最終手段”として慎重に

  • ✅ 月々の返済額は確かに減る
  • ⚠️ しかし総支払額は400万〜1,000万円以上増える
  • ⚠️ 金利上昇時のリスクが大きい
  • ✅ 借金はできるだけ少なく、期間も短くするのが基本
どん☆

「借りられる額」ではなく、「返せる額」で考える。
これが、住宅ローンを安全に利用する唯一のポイントです。
上手に住宅ローンを活用していきましょう!!

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この記事を書いた人

20代でお金の知識ゼロからスタート。
40代に入りセミリタイヤ達成。
でもサラリーマン継続中。
普段は地方の工場で組立作業員として働きながら、FPとして日々活動しています。

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